あけましておめでとうございます
本年もどうぞよろしくお願い致します
昨年の春頃からブログの更新が止まっていますこと、たいへん心苦しい限りであります…。
家庭の事情で写真撮影はおろか外出さえもままならず、ブログを書く気力が保てないという状況が続いていたのですが、最近になってようやく少しずつ時間的な余裕も出てきたため、今年のなるべく早いうちに更新の再開ができればと考えている次第です。そうこうしている間にもブログのネタだけはどんどん溜まってしまい、頭の中で情報が飽和状態となっているありさまなので、できるだけ濃い内容での再開ができるように努めて参りたいと思います。
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以下、例年通りお正月らしい梅の写真でも…と思ったのですが、残念ながら実家の周辺には梅の名所がなく、代わりに昨年ぎりぎりのタイミングで撮影に出掛けられた千曲市森地区のアンズの花の写真(と桜も少し)をレンズ紹介記事風に並べてみますのでご笑覧ください。
皆様にとって本年が良い一年となりますように!
A.SCHACHT / R TRAVENAR 85mm f2.8 (EXAKTA)
A.シャハト社製の中望遠レンズ、トラベナー85mm f2.8(エキザクタマウント)です。以前ご紹介した90mmのトラベナー(Travenar 90mm f2.8 R)の前身モデルと言われており、レンズ構成も同じ3群4枚のテレゾナータイプのようです。穏やかな描写の90mmモデルと比べると、こちらの85mmの方がコントラストが高くて力強い写りをする気がします。
開放描写では少し緩さを感じるものの、近景・遠景を問わず整った写りをするレンズです。コントラストが高めで抜けが良く、発色も鮮やか。後ボケは少しザワザワ気味でしょうか。
少し絞ればカッチリした描写となりますが、硬くなりすぎないのが個人的には好印象です。
屋代駅近くの生蓮寺というお寺の枝垂桜。合焦部分の尖鋭さは絞り開放でもなかなかもの。
藤田光学 / ACCURAR 35mm f2.5 (m42)
藤田光学が「ACCURAR」というブランド向けにOEM供給したフジタ35mm f2.5の異名モデル。個人的にこのレンズの開放描写が大好きなんですよね~。一見頼りなさそうな写りですが、ピントはしっかり来ていて解像していますし、何よりその少しおっとりとした空気感がたまりません。2~3段絞れば独特の質感描写もしてくれる、楽しいレンズです。
ヘリコイドリングを間に挟んで本来の最短撮影距離よりも寄った状態で撮影。絞り開放でもそれなりに写るものですね。周辺部は妖しい感じに崩れていてそれもなかなか面白いです。
f5.6あたりまで絞ると画面が整います。このレンズを絞った時の質感描写は少し独特で、こういった自然物を撮ってもなぜか蝋細工みたいな人工物っぽい感じの写りになるんです。
田中光学 / TANAR 5cm f1.9 (L39)
田中光学のタナー5cmf1.9です。開放描写は甘すぎて使いものにならないなんて意見もよく目にするけれど、そこまで酷いと思ったことはないんですよね。画面全体に滲みが多いのは確かですが、しっかりと解像はしていますし周辺部が崩れるようなこともありません。
さすがに「高性能」だなんて言うつもりはないけど、こういったレンズで触れるべきなのは欠点部分ではなくて、好ましい部分の個性でしょう。例えばその得も言われぬ立体感とか。
少し絞った時の描写も好きですね。しっとりと湿った感じの滑らかな写りをするんですよ。
開放時の滲み描写だって、使い時を選べばとても美しい効果になることだってありますし。
YASHICA / SUPER-YASHINON 10cm f2.8 (L39)
ヤシカのライカLマウント中望遠レンズ、スーパーヤシノン10cmf2.8です。入手以来その描写が気に入ってしまい、最近では100mm前後の焦点距離のレンズとしてはタナー(TELE-TANAR 10cm f3.5)と並んで最も撮影に持ち出す頻度の高い1本となっています。
良く写るのは当然のこととして、鏡胴が細身で携帯性が抜群なのも愛用理由の一つ。ただ、そのコンパクトさの代償として回転ヘリコイド式なのが使用感的にはややマイナスですね。
絞り開放で中景~遠景の被写体を撮影した時に見られる朧気な空気感も好きな理由の一つ。
1~2段ほど絞っても、その空気感が完全には消えずに残るのがまた好ましいんですよね。
藤田光学 / TELE-KINEGON 135mm f3.5 (m42)
謎のゼブラ柄鏡胴のレンズ、テレーキネゴン135mmf3.5。そのスペックや製造番号の頭にある「T.Y」の記号から、藤田光学製である可能性が高いのではないかと私は考えています(→こちらを参照)。その角が立たないまろやかで大らかな描写が私のお気に入り。
逆光は苦手だけど、順光下であれば全く問題なし。開放時の周辺減光は独特の画面効果に。
1950年代後半に製造されたレンズのはずですが、控えめなスペックのおかげもあってか非常に安定感のある写りをします。100~135mmの中口径レンズは、この頃には既に性能面である一定の域に到達していたのでしょう。1960年代以降はコストダウン競争で鏡胴の作りがチープなレンズが増えるため、それ以前の作りの良いモデルがおススメです。
135mmって普段あまり使わない焦点距離なんですが、たまに持ち出すと楽しいですね!
VOIGTLÄNDER / NOKTON 50mm f1.5 (PROMINENT)
学生時代から20数年来愛用し続けている、プロミネント用ノクトン50mmf1.5です。大口径レンズなので開放描写ばかりが注目されがちですけど、実はf4くらいに絞った時の描写もまた見事で、解像力はさほど高くないものの、妙に質量感のある写りをするんです。
こちらは開放時の描写。こういった写りを見ると「ああ、ノクトンだなぁ」と懐かい気分になります(わりと頻繁に使っているのに、それでもなぜか「懐かしさ」を感じるんです)。
シャドー部分の潰れなさとか、建物のトタン壁や窓ガラスの質感とか、まあ言いたいことはたくさんあるのだけど、全体的にやさしく穏やかな写りをしてくれる点が一番良いですね。
先ほどのタナーとの撮り比べ。どちらもいい感じに光が滲んで美しいのだけど、ノクトンはハイライトの抜けが良好で、ホワホワしているのにベタ付かない軽妙な描写が持ち味です。
CAMERA : SONY A7
2024年 元旦