お山の上を一回り
一之峰
お滝巡りは一休みして、せっかく山頂まで登りましたので今回はお山巡りをしてみようかと思います。少し変則的にはなりますが、スタート地点は前回到着した「一之峰」からです。
国土地理院地図で位置を確認しますと、図中の稲荷山の「荷」の字の上にある鳥居マークが御劔石、そこから時計回りに一之峰、二之峰、三之峰、荒神峰、御膳谷奉拝所となります。
それでは標高233mの稲荷山山頂から出発をしましょう!

稲荷山の最高所である一之峰に祀られた「末広大神」です。混雑している時間だと参拝者の行列が出来るほどですが、今回は珍しく人がいませんでした。まあ、夕暮れも近いですしね

山頂からのスタートですので、ここから先は四ツ辻までず~っと下り坂
二之峰

しばらく下るとたくさんのお塚が見えて来ます。稲荷山の2番目の峰、「二之峰」です

ここには「青木大神」が祀られています。全体的に開放感のある場所ですよね
そういえば前回の「青木ヶ瀧」もこんな雰囲気でしたけど、偶然の一致かな?
間之峰

二之峰から下ると、三之峰との中間に「間之峰」があります

ここは「荷田社」と呼ばれ、「伊勢大神」が祀られています。荷田氏は伏見稲荷の古い社家の一つですね。鳥居の形が非常に変わっていて、「奴禰(ぬね)鳥居」という形なのだとか
三之峰

間之峰から進むと、すぐに「三之峰」のお塚が見えて来ます

奉納のぼりにもあるように、ここでは「白菊大神」が祀られています
もともと一之峰、二之峰、三之峰の山頂部には古墳があったのだそうで、古くはそれぞれを上之塚、中之塚、下之塚と呼んでいたのだとか。「お塚」という呼称もこれに由来したものかもしれませんね。それだけお山が古い時代から信仰の対象であったという証なのでしょう
四ツ辻

二之峰~四ツ辻の間は夕方になると西陽が鳥居に射して、これがまた絵になるのです

もう少し下ると、本来の「お山巡り」のスタート地点となるべき「四ツ辻」が見えて来ます
その名が示す通りここは四叉路となっている広場で、お山巡りの始点であり、終点であり、また京都市街を一望できる展望台にもなっているため、いつでも大勢の人で賑わっています

四ツ辻からこの鳥居の奥の石段を上がった場所が「荒神峰」で、「権太夫大神」が祀られた「田中社」があります。ここには後ほど行きますので、今は上がらずそのまま前を通過です

四ツ辻から再び「お山巡り」のコースに入って最初に出会うのがこの「大杉社」
「しるしの杉」でも有名なように、伏見稲荷は杉との強い結び付きがあるようです

その次に現れるのが独特なお狐様の手水舎が目印の「眼力社」

ここに祀られている「眼力大神」には眼病治癒や先を見通す力があるのだとか
御膳谷奉拝所

眼力社のすぐ奥にあるのがこの「御膳谷奉拝所」。伏見稲荷のお山の中枢にあたる神蹟です
冒頭の地図からも分かるように御膳谷は稲荷山の北側の谷に位置しており、ここから3つの峰を遥拝することが出来ます。また一之峰と二之峰、二之峰と三之峰の間を下る2つの谷が交わる特別な場所で、ここでは古来より各峰々への神饌(御膳)の献上が行われてきました

谷地形の中に広がる御膳谷ですが、右奥の社務所よりは一段高くなった場所にあります

無数のお塚が谷底から斜面まで折り重なるように立ち並んでいる光景には圧倒されます

お塚は谷全体に広がり、まだまだ奥の方へと続いています
これは毎年7月中旬に行われる本宮祭の時の四ツ辻~御膳谷の様子
どこまでも続く鳥居と奉納提灯がただならぬ雰囲気を感じさせます
薬力社

御膳谷を出てしばらく坂道を上って行くと「薬力社」に到着します
どことなく「弘法ヶ瀧」と似た雰囲気があって私の好きな場所です

ここには「薬力大神」が祀られています。薬効や健康長寿の力があるのだとか

薬力社の奥にはお山巡りコースの中で唯一のお滝、「薬力の滝」があります

このような空間が観光コースのすぐ傍らに共存しているというのはすごいことですよね
数あるお滝の中でも最も高い場所に位置しており、何か特別な存在なのかもしれません

薬力の滝の隣にある「おせき社」。ここの「おせき大神」は咳やのどの神様なのだそうです
ちなみに、このすぐ横から分岐する山道は大石内蔵助が山科から伏見へと通った道だとか…
長者社

薬力社から続く石段を上ると現れるのが「長者社」

ここには「御劔(みつるぎ)大神」が祀られています

その横には「焼刃の水」と呼ばれる井戸があります。「劔(剣)」という名前からも分かるように、ここは昔から鍛冶屋さんや金属加工業者さんに崇敬されてきた神様なのだそうです

裏側にはこのような「御劔石」と呼ばれる見事な磐座があります

おそらくここに伏見稲荷が成立するよりも以前から、この磐座は稲荷山の峰々と共に信仰の対象となってきたのではないでしょうか。いわゆる「神奈備」と呼ばれるもので、その形や大きさからも、お山の中でも特に重要な場所とされたであろうことは想像に難くありません

御劔石はすぐ近くまで行くことが出来ます。この周辺にお塚が集まるのも納得ですよね

ここはお山の中でも特に空気がピンと張り詰めた、独特な雰囲気を感じる場所です
この長者社から長くて急な石段を上がれば山頂の一之峰に着きますが、今回はスタート地点までは戻らずに、先ほどの薬力社まで戻って「お滝巡り」を再開したいと思います。時間はもう夕方の5時近く。そろそろ薄暗くなってきましたが、また山道を歩かねばなりません…
というわけで、次は最終回のお滝巡り③です