初期ミランダ用ソリゴールレンズとその周辺/「K」ナンバー編

興和製とされるレンズたち

 

「プロミナーミランダ」と「K」ナンバー

前回の「ナンバーの後を受け継いだ「プロミナーミランダ(Prominar Miranda)」と製造番号の頭に「」の記号が付いたソリゴールレンズについて今回は取り上げてみます。

「Prominar-Miranda」と「K」ナンバーソリゴール


プロミナーミランダ
は、ミランダBのセットレンズとして1959年の初めころに登場したようです。この時期のミランダカメラ理研光学工業RICOH)と提携関係にあり、その販売網に乗せてもらう形で日本国内での販路を獲得したものの、次第に海外への輸出向けの生産だけで手いっぱいな状態になり、国内での販売は一時的に休止されることとなります。

理研光学工業によるミランダBの広告(写真工業1959年3月号)
理研光学工業によるミランダBの広告(写真工業1959年3月号)

 

ミランダBとプロミナーミランダ
ミランダBとプロミナーミランダ

なお、ミランダBは1958年に発売された日本国内向けのモデルで、初期の標準レンズは「Y」ナンバーのソリゴール。同時期の海外では輸出専用機であるミランダCが販売されていて、こちらも途中から標準レンズが「プロミナーミランダ」へと切り替わったようです。

 

標準レンズ

①プロミナーミランダ(前期型)

プロミナーミランダ(前期型)
プロミナーミランダ(前期型)

プロミナーミランダ」の前期型はピントリングよりも先が黒色で統一された外観が特徴のPADタイプ。ミランダ研究会さんの情報によると、最初期には「プロミナー」の単独表記モデルが存在したそうですが、残念ながら私はそのモデルを一度も見たことがありません。

プロミナーミランダ(前期型)/ 部分
プロミナーミランダ(前期型)

このモデルの特徴は銘板に「Kowa Opt.」と製造メーカー名がはっきり記されている点で、製造番号の頭に「K」の記号は付きません。マウント基部外周のリングにギザギザがなく、黒色塗装もマット調の落ち着いた仕上げになっています。フィルター径は46mm。製造番号は私が確認した限りでは480029~480382の範囲内に分布しています。

 

②プロミナーミランダ(後期型)

プロミナーミランダ(後期型)
プロミナーミランダ(後期型)

この後期型のモデルでは絞り環がシルバーに変わります。もう一つの違いはシャッター連動ボタンの側面に自動絞りと手動絞りを切り替えるスライド式のスイッチが追加されました。
これまでに確認した個体の製造番号は480334~481909の間に分布しています。

プロミナーミランダ(後期型)/ 部分
プロミナーミランダ(後期型)

上記以外で前期型と差異が認められる部分は、被写界深度目盛り表示が整理されて見やすくなったことと、マウント基部外周のリングにネジが追加されていることくらいでしょうか。

 

③「50mm+K」ソリゴール

「50mm+K」ソリゴール 
「50mm+K」ソリゴール

「プロミナーミランダ」と「K」ナンバーソリゴールの焦点距離表示は基本的に「5cm」で統一されているのですが、ごく一部に「50mm」表記の個体が見られます。私が勝手に「ミリKタイプ」と呼んでいるモデルで、外観の特徴は「プロミナーミランダ」の後期型とほぼ同一に感じられます。レンズ銘が「ソリゴールミランダ」となり「Kowa Opt.」の表記は消え、その代わりに製造番号の頭には「」の記号が付けられるようになります。

「50mm+K」ソリゴール  / 部分
「50mm+K」ソリゴール

銘板の表記以外は「プロミナーミランダ」の後期型にそっくりな外観ですが、あえて違いを探すなら絞り環のギラギラした光沢感が少し抑え気味になったように見えます。製造番号は2通りあって、K59から始まる5桁ナンバー(K59037~K59527の間に分布)の個体と「プロミナーミランダ」からの連続性を感じさせるK48から始まる6桁ナンバー(K482509~K483471の間に分布)の個体があります。「K59」はおそらく1959年の製造を意味すると思われ、「K」ナンバーモデルの最初期に新たに割り振られたものの、その後「プロミナーミランダ」と同系列の番号帯に統一されたと考えられます。この「K59」から始まる5桁ナンバーの個体では銘板の書体や表記方法が上掲の写真とは少し異なり、前回の「Y」ナンバーや「T.Y」ナンバーモデルにより近い印象を受けます。

「K59」ナンバー個体の銘板表記(Webより)
「K59」ナンバー個体の銘板表記(Webより)

 

④プロミナーミランダ(ハイフンなし)

プロミナーミランダ(ハイフンなし)
プロミナーミランダ(ハイフンなし)

これはかなり珍しい個体で、「Prominar」と「Miranda」の間に「‐」(ハイフン)がないタイプとなります。「プロミナー」なのに「Kowa Opt.」の表記がなく、製造番号の頭には「」が付くというかなり変則的な表記になっていて、このモデルが存在するおかげで「興和」=「プロミナー」=「」という関係性が明確に位置付けられると思うのです。

プロミナーミランダ(ハイフンなし)/ 部分
プロミナーミランダ(ハイフンなし)

「プロミナー」銘ですが、外観的にはむしろこの後にご紹介する「K」ナンバーソリゴールとの共通性を強く感じます。マウント基部外周のリングにはギザギザがあって、黒色塗装も光沢感のある仕上げとなっている点などがそれ以前のモデルとの目立った違いでしょうか。製造番号も「K」ナンバーソリゴールの最初期の番号帯に割り込むような形で見られることから(K483807~K485198の間に分布)、当初は販売先ごとに「プロミナー」と「ソリゴール」のブランドを使い分けていたという可能性も考えられそうな気がします。

ミランダSTとプロミナーミランダ(ハイフンなし)
ミランダSTとプロミナーミランダ(ハイフンなし)

私の所有する個体はこれまた珍しいミランダSTに装着された状態で入手しました(ebayでアメリカの出品者から購入)。どちらもその中古市場における低い出現率から考えてかなり限定的なルート、または用途向けに販売されたモデルだったのではないかと推察されます。

 

⑤「5cm+K」ソリゴール

「5cm+K」ソリゴール
「5cm+K」ソリゴール

「K」ナンバーソリゴールの代表的な存在とも言えるのがこの焦点距離が「5cm」表記で「」ナンバーの「センチKタイプ(私が勝手に命名)」です。かなりの本数が製造されたらしく、日本国内ではあまり見かけないものの、主な輸出先であったアメリカではebayなどへの出品も数多く見られます(しかも相場が20~50$前後と安い!)。中古市場に出てくる際の組み合わせはミランダDミランダDRDR1.9)とのセットが多いですね。

「5cm+K」ソリゴール / 部分
「5cm+K」ソリゴール

外観は先ほどのハイフンなしの「プロミナーミランダ」に酷似しており、単に銘板が異なるだけの同一モデルのようにも見えます。つまり実質的にはこのレンズも「プロミナー」だと考えて良さそうなのだけど、やはり銘の有無というのは気分的に全くの別物なのでして…。
製造番号はK48から始まる6桁ナンバー(K484017~K489919の間に分布)の個体と、同じくK48で始まる7桁ナンバー(K4851192~K4877341の間に分布)の個体とがあり、この桁数の違いが何を意味するのかは不明です。目的別に意図的に使い分けていたのかもしれませんし、あるいは当初想定していた以上に生産本数が増えてしまい、急遽後ろに一桁を足すことになった…なんて可能性も考えられるかもしれません。

ミランダCと「5cm+K」ソリゴール
ミランダCと「5cm+K」ソリゴール

ミランダCに「センチKタイプ」のソリゴールを装着しました。このカメラはミランダBにセルフタイマー機能が追加された輸出専用モデルです。隣に並べた旧ロゴタイプ(M以外が小文字)のフードはなぜか生産数が非常に少ないらしく、探してもなかなか出てきません。

 

⑤オートメックス用「K」ナンバーソリゴール

オートメックス用「K」ナンバーソリゴール
オートメックス用「K」ナンバーソリゴール

1960年に発売されたミランダオートメックス(AUTOMEX)用として供給された「」ナンバーソリゴールです。ミランダはこの機種で初めてカメラ側から絞り開閉操作が行えるようになり、PADタイプの外観的な特徴だった腕木状のシャッター連動ボタンが鏡胴から消えます。ただ、絞り値をカメラに伝達するためのアーム(写真左下)が新たに設けられたため、まだ若干スマートさには欠ける印象を受けますね。もう一つの特徴としてはボタンを押し込みながら自動絞りと手動絞りを切り替える「A⇔M切り替えスイッチ」の形状が独特で、オートメックス用の「K」ナンバーソリゴールを見分ける際のポイントにもなります。
これまで確認した製造番号はK4800201~K4803761の間に分布しています。

オートメックス用「K」ナンバーソリゴール / 部分
オートメックス用「K」ナンバーソリゴール

絞り値をカメラに伝達するためのアームは同時期のコニカF(KONICA F)でも似たような方式が採用されているものの、ボタンを押し込みながら操作するA⇔M切り替えスイッチはなかなか独自性が強いですね。また、ボディ側から絞りを開閉させるためのレバーの動きが少し変わっていて、単純な横方向への動作をするのではなく、まず支点を軸にして倒れ込むような動きをしてからテコの原理で横方向への動力伝達をするのです。力の逃し方としては理想的なのかもですけど、どうにも華奢な作りに見えて耐久性には若干の不安を感じます。

ミランダオートメックスと「K」ナンバーソリゴール
ミランダオートメックスと「K」ナンバーソリゴール

ミランダオートメックスはⅠ型~Ⅲ型がありますが、Ⅰ型とⅡ型は輸出専用商品で日本国内では販売されなかったとか。「K」ナンバーソリゴールがセットされたのはⅡ型の途中までらしいので(それ以降は記号なしのソリゴールミランダ)、生産本数はそれほど多くはないでしょう。このオートメックス用を最後に「K」ナンバーのレンズは見られなくなります。

 

標準レンズの製造ナンバー表

前回と同様、主にWeb上で見かけた個体の中でも製造番号が確認できるものについて私が記録してまとめたものを表にしてみました。不鮮明な画像なども参考対象にしているため、細かなミスや勘違いはご容赦いただきたく願います。まずは標準レンズからご覧ください。

標準レンズの製造番号表
記載内容については訂正・更新することがあります
拡大画像①
拡大画像①
拡大画像②
拡大画像②
拡大画像③
拡大画像③
拡大画像④
拡大画像④

 

6種類の標準レンズ
6種類の標準レンズ
6種類の標準レンズ
6種類の標準レンズ

こうして並べてみると、鏡胴こそ違うものの光学系に大きな変化はなさそうです。「センチKタイプ」(後列中)と「オートメックス用」(後列右)の後玉のコーティングの色に少しパープルが加わったように見えるので、途中で多少の設計変更はあったのかもしれません。

PADタイプのシャッター連動ボタン
プロミナー(前)/プロミナー(後)/ミリK/ハイフンなし/センチK

細かい部分ではありますが、PADタイプのシャッター連動ボタンの変化もご覧ください。まず、「プロミナーミランダ(前期型)」(写真左端)にだけ連動ボタンの左側面に絞りのA⇔Mを切り替えるためのスライドスイッチがありません。次に、連動ボタン表面の処理が鏡面仕上げになっているかどうかという点でも差異が認められます。どうやら、この違いはマウント基部外周のギザギザ(なし/あり)及び黒色塗装の光沢感(なし/あり)の変化と同調しているようで、PADタイプ鏡胴の世代を見分ける上でのポイントになりそうです。

…以上の外観的な違いや製造番号の分布から見るに、これらのレンズが登場した順番は

①プロミナーミランダ(前期型)
②プロミナーミランダ(後期型)
③ソリゴールミランダ(50mm+K)
④プロミナーミランダ(ハイフンなし)
⑤ソリゴールミランダ(5cm+K)
⑥オートメックス用「K」ナンバーソリゴール

ということになりそうです。④と⑤はほぼ同時期に生産が開始されたと思われますが、ごく短期間で製造が終了した④とは対照的に、⑤はかなり長期間にわたって生産が続いたらしいのでこの順番にしました。③に「K59」から始まる5桁ナンバー(上掲表内の赤枠部分)が存在する理由と、⑤に6桁ナンバーと7桁ナンバーがある理由については謎のままです。

カロ35F2とプロミナー50mmf2
カロ35F2とプロミナー50mmf2

余談ですが、1959年に興和が発売したカロ35F2(Kallo35F2)というカメラに搭載された50mmのプロミナー(Prominar 50mm f2)が、ミランダ用のプロミナー系レンズとよく似ている気がするんですよね。製造期間も重なることから、設計の流用などがあったとも考えられそうです。右に並べたのは私がジャンク機体から抜き出してライカMマウント改造した個体ですが(ピント調整機能がないためヘリコイドアダプターを介してミラーレスカメラで使用)、実際に撮影してみた感想としても両者の写りはよく似ていると思います。

Prominar-Miranda 50mm f1.9 / Prominar 50mm f2
Prominar-Miranda 50mm f1.9(左)/ Prominar 50mm f2(右)

プロミナーミランダとカロ35F2用のプロミナーを並べてみると、前玉と後玉の大きさやコーティングの色が似ています。ただ、後群の反射面を観察すると曲率などには若干の違いも認められますので、さすがに全く同一のレンズというわけではないのでしょう。ちなみに興和はこの後にレンズシャッター方式を採用した独自の一眼レフカメラシリーズを展開することとなりますが、そのために用意された標準レンズ群はコーティングの色や後玉径などに大きな差異が見られることから、新たに設計された別のレンズと考えた方がよさそうです。



「プロミナーミランダ」及び「K」ナンバーソリゴールを入手する際の注意点ですが、まず多くの個体で光学系内の外側面にコバ塗りの剥がれや水泡のような小さな点が無数に浮いている姿が見られると思います。実際の写りには特に影響はないと思われますが、よく探せばそういう症状が出ていない個体もありますので、気にされる方はご注意下さい。もう一つ、これはより重大な問題で、絞りが開放状態のまま固着してしまっている個体が多いのです。羽根に滲み出た油による粘着がその原因で、たいていは油分を除去すれば再びシャカシャカと軽快に作動するようになるものの、場合によっては無理に動かそうとして内部でパーツが破損してしまっている可能性もありますから、絞りが動作不良を起こしている個体についてはより注意が必要でしょう。あとは鏡胴にガタが出ている個体が多めな印象を受けますね。

 

広角/望遠レンズ

交換レンズの製造ナンバー表

ここからは50mm以外のレンズについても見ていきたいと思います。まずは標準レンズと同様に私が主にWeb上で見かけた個体の製造番号をまとめた表をご覧いただきましょう。

交換レンズの製造番号表
記載内容については訂正・更新することがあります
拡大画像(2.8cm)
拡大画像(2.8cm)
拡大画像(3.5cm)
拡大画像(3.5cm)
拡大画像(5.8cm~10.5cm)
拡大画像(5.8cm~10.5cm)
拡大画像(13.5cm)
拡大画像(13.5cm)

 

⑥ソリゴールプロミナー 2.8cm f2.8

存在するという話は聞いたことがあるものの、残念ながら私は一度も実物どころか写真さえ見たことのないモデルです。おそらく存在する、という前提でこの項目を設けておきます。

 

⑦ソリゴールミランダ 2.8cm f2.8(PADタイプ)

ソリゴールミランダ 2.8cm f2.8(PADタイプ)
ソリゴールミランダ 2.8cm f2.8(PADタイプ)

PADタイプで「K」ナンバーの2.8cmレンズ。「Y」ナンバーにはなかった焦点距離であり、初期のレトロフォーカスタイプの28mm、しかも開放値f2.8というスペックにしては驚くほど小柄なサイズにまとまっています。開放から解像力が高く鋭い描写をするものの、やはり前玉径の小ささが影響しているのでしょう、盛大な周辺減光が目立ちます。

ソリゴールミランダ 2.8cm f2.8(PADタイプ)/ 部分
ソリゴールミランダ 2.8cm f2.8(PADタイプ)

標準レンズに比べるとやや長めの鏡胴で、マウント基部外周のリングにはギザギザがあり、黒色塗装も光沢感があるタイプ。製造番号はK820155~K821027の間に分布。

 

⑧オートメックス用 2.8cm f2.8 「K」ナンバー

オートメックス用個体(Webより)
オートメックス用個体(Webより)

オートメックス用の「K」ナンバー2.8cmf2.8。かなり生産数が少ないらしく、数本の存在は確認したものの、残念ながら製造番号が読み取れる写真には出会えませんでした。

 

⑨ソリゴールプロミナー 3.5cm f2.8(エキザクタマウント)

ソリゴールプロミナー 3.5cm f2.8(Webより)
ソリゴールプロミナー 3.5cm f2.8(Webより)

ミランダ用ではない、ソリゴールブランドのプロミナー3.5cmf2.8。シャッター連動ボタン付きのエキザクタマウントの個体しか見たことがなく、それ以外のマウントの個体が存在するかは不明です。ミランダのPADタイプの鏡胴構造が流用できるというメリットもあったかもしれません。製造番号は735070~735442の間に分布が見られます。

ミランダSTとキノン55mm f1.9
ミランダSTとキノン55mm f1.9

ミランダにはシャッター連動ボタンの付いたエキザクタマウントレンズをそのままボディに連動させてしまうアダプターが純正で用意されていて、このアダプターを使えばまるで専用レンズであるかのように違和感なくエキザクタマウントレンズで撮影ができてしまいます。この構造的な近さがソリゴールプロミナーの製品化にも活用されたのではないでしょうか?

 

⑩ソリゴールミランダ 35mm f2.8(PAD長鏡胴タイプ)

ソリゴールミランダ 35mm f2.8(PAD長鏡胴タイプ/Webより)
ソリゴールミランダ 35mm f2.8(PAD長鏡胴タイプ/Webより)

写真でしか確認をしていないモデルですが、一般的なPADタイプの3.5cmf2.8とは明らかに鏡胴の長さが異なるため、「長鏡胴タイプ」として分類します。長い鏡胴の先端部までレンズが詰まっているため、この次の「短鏡胴タイプ」とはレンズの構成も違っていることでしょう。これまで確認した製造番号はK620201とK620378の2本のみ。

 

⑪ソリゴールミランダ 35mm( 3.5cm) f2.8(PAD短鏡胴タイプ)

ソリゴールミランダ 35mm f2.8(PAD短鏡胴タイプ)
ソリゴールミランダ 35mm f2.8(PAD短鏡胴タイプ)

PADタイプで「K」ナンバーの35mmレンズ。上の「長鏡胴タイプ」と比べるとかなりコンパクトなサイズにまとまっていると思います。扱いやすいレンズではありますが、その描写についてはいま一つパッとしないというか、2.8cmには及ばない印象を受けます。

ソリゴールミランダ 35mm f2.8(PAD短鏡胴タイプ)/ 部分
ソリゴールミランダ 35mm f2.8(PAD短鏡胴タイプ)

写真の個体はかなり初期の番号帯のもので、マウント基部外周のリングにギザギザがなく、黒色塗装は半光沢っぽい感じ。「長鏡胴タイプ」も同様の特徴を示していて、標準レンズに当てはめると「K」ナンバーソリゴールの最初期あたりの特徴と合致します。長・短鏡胴のどちらも焦点距離が「mm」表記である点も興味深く、かなり早い段階で「長鏡胴タイプ」と「短鏡胴タイプ」は入れ替わったのかもしれません。この後「短鏡胴タイプ」は製造番号が新しくなるにつれて「ギザギザあり/光沢感あり」そして「cm」表記へと変化します。
これまでに確認した製造番号はK730092~K732484の間に分布が見られます。

 

⑫オートメックス用 3.5cm f2.8 「K」ナンバー

オートメックス用 3.5cm f2.8 「K」ナンバー(Webより)
オートメックス用 3.5cm f2.8 「K」ナンバー(Webより)

オートメックス用の「K」ナンバーソリゴールはどれも数が少ないらしくて見かける機会も少ないのですが、この3.5cmはそこそこの頻度(といっても年に数回程度)で出会える印象のレンズです。製造番号はK730390~K732412の間で分布が見られます。

この3.5cmf2.8の「K」ナンバーソリゴール(PADタイプ/オートメックス用)とソリゴールプロミナーについては海外のフォーラムでかなり興味深い比較をされている方がいらっしゃるので、ご興味があれば覗いてみてください(当該箇所はベージの後半部分)。

 

⑬ソリゴールミランダ 58mm(5.8cm) f1.5(PADタイプ)

ソリゴールミランダ 5.8cm f1.5(PADタイプ/Webより)
ソリゴールミランダ 5.8cm f1.5(PADタイプ/Webより)

初期のミランダ用ソリゴールレンズの中では最大口径比を誇るレンズです。最初期ナンバーでは焦点距離表記が「58mm」、中期以降ナンバーの個体では「5.8cm」となります。鏡胴については「ギザギザなし/半光沢っぽい黒色塗装」で、「K」ナンバー初期の特徴を示します。ちょっと異質なのはシャッター連動ボタンの形状で、大柄で角ばった意匠はこのレンズ以外だと後述の13.5cmf2.8でしか採用されていません。大口径用の特別仕様だったのでしょうか?製造番号はK710013~K710629の間に分布しています。

 

⑭オートメックス用 8.5cm f1.8 「K」ナンバー

オートメックス用 8.5cm f1.8 「K」ナンバー(Webより)
オートメックス用 8.5cm f1.8 「K」ナンバー(Webより)

私がこれまで1本しかその存在を確認していない8.5cmの中望遠レンズです。鏡胴全体がピントリングみたいなデザインはなかなか使いやすそうに見えますよね。オートメックス用のみの供給で、PADタイプはないとのこと。唯一確認できた製造番号はK455163。

 

⑮ソリゴールミランダ 10.5cm f2.8(PADタイプ)

ソリゴールミランダ 10.5cm f2.8(PADタイプ/Webより)
ソリゴールミランダ 10.5cm f2.8(PADタイプ/Webより)

PADタイプで「K」ナンバーの10.5cmレンズ。魅力的なスペックではありますが、生産本数はかなり少なかったらしくめったにお目に掛かれません。製造番号は2通りあってK59で始まる5桁ナンバー(K59549~K59774の間に分布)の個体と、同じくK59で始まる6桁ナンバー(K590309を1本だけ確認)の個体があります。K59で始まる5桁ナンバーといえば先述の「ミリKタイプ」の標準レンズに見られた番号帯で、どういった理由でこのレンズがそこに割り当てられたのかはとても気になるところですね。

 

⑯オートメックス用 10.5cm f2.8 「K」ナンバー

オートメックス用 10.5cm f2.8 「K」ナンバー(Webより)
オートメックス用 10.5cm f2.8 「K」ナンバー(Webより)

このオートメックス用の「K」ナンバーソリゴール10.5cm f2.8も大変珍しいレンズとなっていて、これまで私が確認した個体は1本のみです(製造番号はK590432)。

 

⑰ソリゴールミランダ 13.5cm f2.8(PADタイプ)

ソリゴールミランダ 13.5cm f2.8(PADタイプ)
ソリゴールミランダ 13.5cm f2.8(PADタイプ)

PADタイプで「K」ナンバーの13.5cm f2.8モデル。大柄な鏡胴で、PADタイプの中では最大・最重量ではないでしょうか。シャッター連動ボタン部分が角形になっているのが特徴で、このレンズ以外だと58mm(5.8cm)f1.5だけに見られる仕様です。
製造番号は2通りあり、K19で始まるナンバー(K196436とK196547の2本のみ確認)の個体と、K78から始まるナンバー(K780025~K781929の間に分布)の個体があります。同じレンズが「プロミナー」銘でエキザクタマウント用としても販売されたという情報を目にしますが、私はまだ確認ができません。ただ、「ソリゴール」(ミランダなし)銘のエキザクタマウント個体は見たことがあり、製造番号は「K」なしの781220で「K78」の番号帯に含まれますから、派生モデルは存在するのでしょう。

ソリゴール銘のエキザクタマウント個体(Webより)
ソリゴール銘のエキザクタマウント個体(Webより)
ソリゴールミランダ 13.5cm f2.8(PADタイプ)/ 部分
ソリゴールミランダ 13.5cm f2.8(PADタイプ)

写真の個体は製造番号が若いため「K」ナンバーソリゴール初期の特徴を示しますが、このレンズは製造番号が大きくなってもこの特徴をずっと維持したままで、もしかすると初期に集中的に生産されたモデルなのかもしれません(あくまで外観変化のみでの推測ですが)。

 

⑱オートメックス用 13.5cm f2.8 「K」ナンバー

オートメックス用 13.5cm f2.8 「K」ナンバー(Webより)
オートメックス用 13.5cm f2.8 「K」ナンバー(Webより)

オートメックス用の「K」ナンバーソリゴールの交換レンズはとにかく数が少ないらしく、このモデルもまだ1本しかその存在を確認できていません(製造番号はK781991)。「構造的に耐久性に欠ける」という指摘を見かけるため、単に現存数が少ないだけなのかもしれませんけど、それでもジャンク個体すら出てこないのはなんとも不思議ではあります。

 

⑲ソリゴールミランダ 13.5cm f3.5(PADタイプ)

ソリゴールミランダ 13.5cm f3.5(PADタイプ)
ソリゴールミランダ 13.5cm f3.5(PADタイプ)

PADタイプで「K」ナンバーの13.5cm f3.5モデル。f2.8に比べるとかなり細身な鏡胴で、シャッター連動ボタンは通常の丸形。「K」ナンバーソリゴールの望遠レンズの中では最も見かける頻度が高いです(というか、他が少なすぎるような気もしますが…)。
製造番号は2通りあり、「K42」で始まるナンバー(K421072~K421205の間に分布)の個体と、「K84」から始まるナンバー(K840194~K841407の間に分布)の個体とがあります。別マウントの派生モデルの存在はまだ確認していません。

ソリゴールミランダ 13.5cm f3.5(PADタイプ)/ 部分
ソリゴールミランダ 13.5cm f3.5(PADタイプ)

このモデルは製造番号の若い個体から「K」ナンバーソリゴールの中期以降の特徴を備えているため、登場はf2.8モデルよりも後だった可能性が考えられます。手頃な大きさ・重量で幅の広いピントリングや絞り環の操作性も良く、実用向けに最適なレンズかと思います。

 

⑳オートメックス用 13.5cm f3.5 「K」ナンバー

オートメックス用 13.5cm f3.5 「K」ナンバー(Webより)
オートメックス用 13.5cm f3.5 「K」ナンバー(Webより)

このモデルもやはり数が少なくてこれまでに4本しかその存在を確認していませんが、製造番号は2通りあって、「K42」から始まる個体(K425223/K425307)と、「K84」から始まる個体(K840707/K840732)があります。「K84」のナンバーはPADタイプの番号帯と完全に重複しているため、同時生産されていたのかも?

 

PADタイプのシャッター連動ボタン(交換レンズ)
2.8cm f2.8/35mm f2.8/13.5cm f3.5/13.5cm f2.8

標準レンズと同様に、所有する4本のPADタイプの交換レンズのシャッター連動ボタンの特徴を見てみます。左から2番目の35mmf2.8は「K」ナンバーソリゴール初期の特徴を持つレンズで、ボタン表面が鏡面仕上げになっている点は標準レンズの時と同様ですね。右端の13.5cmf2.8のシャッター連動ボタンはとにかくその存在感が圧倒的。手前のスライド式スイッチは丸形タイプの側面にあるのと同様で、絞りのA⇔M切り替え用です。

 


その他の「K」ナンバー

今回の特集とは関係ありませんが、1980年代頃に主に輸出用として作られた一眼レフ用交換レンズの中に製造番号の頭に「K」の記号が付いた製品が見られるため、混同を避けるためにも少し触れておきたいと思います。私が最初に気付いたのはカリマー(KALIMAR)というブランドのレンズで、28mmf2.8や50mmf1.7モデルをよく見かけます。これらは韓国製のレンズだったため、初めはKOREAの「K」なのだろうと納得していたのですが、そのうち日本製のレンズもあることを知って混乱します。さらに調べてみると、
AETNA ROKUNAR/CAMREX/CULBMAN/CRAIG OPTICS/ENSINOR/FIVE STAR/FOCAL/GEMINI/MAGNICON/UNITAR/OZUNON/PROMASTER/SEIKANON/STARBLITZ/TOU FIVE STAR/UNDERGROUND/…等々、聞いたこともないブランドがゴロゴロと出てきてびっくりしました(生産国は日本と韓国が半々程度な印象)。これらはどう考えても今回取り上げた「K」ナンバーレンズとは関係がないため、単に『製造番号の頭に「K」があるから興和製だ』といった安直な判断はしないでいただきたいところです。

その他の「K」ナンバーレンズ(Webより)
その他の「K」ナンバーレンズ(Webより)

 

最後に

私の「プロミナーミランダ」や「K」ナンバーソリゴールに対する関心は、「Y」ナンバーソリゴールについて調べていると必ずその延長線上に現れる存在なので気になった、というあまり積極的でない理由から始まりましたので、今回の特集にあたっても素材や資料の収集が万全ではなく、Webからの画像データ引用が多くなってしまった点については心苦しい限りです。もう少し興味があれば入手できていたレンズも多くあり、特に5.8cmf1.5モデルの入手機会を2度も逃したことは今でも痛恨の極みだったりします(もうご縁がないものと諦めました)。そんなわけで多少の不十分さも残る内容ではありますが、このようなまとめをしているサイトも少ないようなので、何らかの参考にしていただければ幸いです。

次回は「さまざまな記号のソリゴール」ついて語りたいと思います。

序説
「Y」ナンバーソリゴール編
それ以外のさまざまな記号編/前編
それ以外のさまざまな記号編/中編
→それ以外のさまざまな記号編/後編

レンズ研究

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